カウンセリング
形成外科医になって10年以上、これまで“傷”という皮膚のダメージと向き合ってきました。
「傷をもと通りに、さらに美しく治す」
これは形成外科医の使命です。そのために、手術の技術を習得するだけではなく、根本の「土台づくり」についても深く学びました。傷の治り（細胞の回復）は人それぞれです。傷の状態や年齢などにも左右されますが、 その人が何十年も蓄積してきた生活習慣も大きな影響を及ぼします。例えば、間違ったスキンケアの習慣によって皮膚のトラブルを抱えて いる人は、傷の治りが遅く、痕も残りやすくなります。
食生活が乱れていたり、ストレスを抱え続けていたりする人も同じです。健やかな土台があってこそ傷は早くきれいに治るのです。そしてこれは、肌や体のアンチエイジングにも共通しています。手遅れになる前に、〝細胞ファースト〞のトータルアンチエイジングを提案したい。これまで私は、診療の中で出会う患者さん一人一人に割ける時間が短く、本当は伝えたいけれど伝えきれない日々を過ごしていました。
当院ではひとりの患者さんとゆっくりと時間をかけて話し合い、健やかに自分らしく歳を重ね、細胞レベルから本当の美しさを実現できれば幸いです。
ヒアルロン酸治療
本治療はヒアルロン酸という物質を使用して、顔や他の部位のボリュームを補充し、しわやたるみの改善、若返り効果を得る治療法です。ヒアルロン酸は、天然に存在する糖タンパク質の一種であり、我々の皮膚や結合組織に広く存在しています。特徴的な性質として、水分を保持し、皮膚のボリュームや弾力を保つ役割があります。市場には様々な濃度や粘度のヒアルロン酸がありますが、患者様の悩みの部位や内容に合わせて、適切な製剤を選択します。
「病気」よりも「老い」こそが根本的な課題
仏教の根本命題は「生老病死」の解決にあります。1つ目の「生きる苦しみ」は人間にストレスを与えますが、逆境をバネに向上することも可能で、人生観を変えることで対処できます。生きる苦しみ以降の「老いる苦しみ、病む苦しみ、死ぬ苦しみ」は基本的には老化つまり「老い」から生じています。50歳までは多くの人は病気知らずですから、病（やまい）や死を考える機会は少ないものです。
しかし、50歳を過ぎる頃から「老い」が始まり、それに比例して生命力・免疫力・抵抗力などの低下によって必然的に「病(やまい)」の苦しみが伴ってきます。「死」はそれらの帰結です。つまり、老いることも病むこともなければ、人は何百歳も生きてしまいます。つまり病気よりも「老い」ということがより根本的な課題と言えます。
旧約聖書には太古の人類は何百歳も生きたという話が出て来ます。その真偽のほどはともかく、老化現象がなく、常に細胞がrenewal（リニューアル）され続けていけば、老いる理由はなくなります。そして必然的に病むことも死ぬこともなくなります。しかし、諸行無常はこの世の必然ですので、いつかは死がやって来ることは避けられません。現在の日本が超高齢化社会を迎えるにあたり、「老い」という一見ありふれた問題に改めて向き合う必要があると言えます。
